スポーツの盛んな磐田市には、プロ選手が利用する施設から市民が気軽に利用する施設まで、数多くのスポーツ施設があります。磐田スポーツ交流の里ゆめりあ球技場には、天然芝のサッカーグラウンドや多目的グラウンドの他に、人工芝のフットサルコートがあり人工芝のメリットを活かして高い稼働率で利用されてきました。
磐田市は2023年12月から2024年2月にかけて、フットサルコートの人工芝の全面張り替え工事を実施。ピリカは、人工芝メーカーの協力も得ながら対策の提案を行いました。 

1.　人工芝の経年劣化の実態

　人工芝の寿命は素材や使用頻度などにも左右されますが10～15年程度と言われています。敷設から時間が経つにつれ、紫外線や風雨、プレーによる摩耗によって人工芝が損耗し、充填材や基布がむき出しになって衝撃吸収性が低下します。切れた人工芝片や充填材はプレーグラウンド外に移動し、フィルターなど何もとどめるものがなければ排水溝などから場外へ流出します。

　張り替え工事前、ゆめりあ球技場のフットサルコートの人工芝はかなり経年劣化が進行し、特にフットサルコートのゴール前は損耗が激しく充填材（ゴムチップ）があらわになっており、一部ではコンクリートが露出していました。人工芝の損耗が激しい箇所では充填材を捕捉する機能が衰えるため、より周辺により飛び散りやすくなります。また、芝も傷みやすくなりさらに損耗が誘発されます。

2.　張り替え工事中の流出対策も忘れてはいけない

　人工芝の張り替え工事は、撤去から始まります。決まった幅にカットしながら、フォークリフトでロール状に巻いていきます。巻かれた人工芝は充填材も含んでいます。このロール状の人工芝からマイクロプラスチックが流出しないように、保管は地面に直接置かずシート上に、運搬は屋根付きのトラックで厳重な対策のもと行われました。
　撤去完了後、残った人工芝片や充填材が流出しないように全体を清掃し、新しい人工芝を敷設します。敷設時も人工芝の端部等からマイクロプラスチックが流出しないように注意を払って作業が行われました。

3.　新しく生まれ変わったフットサルコートにはどんな対策が？

　新しいゆめりあ球技場のフットサルコートの人工芝は、アンダーパッドの上に敷設され、充填材はコルク・ヤシ殻を活用した天然素材が採用されました。また充填材の流出対策として人工芝フィールドの外側50cm幅は充填材を用いないノンフィル人工芝が設置されています。（※充填材は天然素材とはいえ分解性が担保されているわけではないため極力流出を防ぐことが望ましい）さらに、集水桝には形状にあった特別なフィルターが設置され、場外への流出を防止します。集水桝フィルターは設置約2か月後にその効果を検証し、確実にマイクロプラスチックが捕捉されていることを確認しました。（※より強度を保つため検証後にフィルターを改良）

4.　敷設後の維持管理も大切な対策！一人ひとりに関心を持ってもらうことが第一歩

経年劣化した人工芝の張り替えや流出対策によって、マイクロプラスチックの流出量は大幅に減らすことができます。ただ、新しい人工芝でも流出はゼロにはなりません。特にスポーツ施設の人工芝は摩擦が激しいため、常に人工芝片や充填材が飛散するものと考えなければなりません。施設管理者は定期的に清掃を行って流出を防止するほか、利用者もプレー後に靴や身体に付いた人工芝を払い落とすなど出来ることがあります。

さいごに

　ピリカは、自治体様・議員様を対象に【スポーツ施設における人工芝流出対策】をテーマとしたウェビナーを開催し、リスクや対策について解説いたします。本ウェビナーでは、自治体・企業・スポーツチームと共に人工芝流出対策に取り組んだ実績を持つ株式会社ピリカが、人工芝を巡る世界と国内の対策・規制の動向や流出対策の事例をご紹介いたします。

【セミナー概要】

タイトル：今すぐの対策が鍵！【スポーツ施設における人工芝流出対策】

開催場所：オンライン（zoom）

参加費用：無料

開催日 ：① 2024年4月23日（火）11:00~12:00　（終了いたしました）

　　　     ② 2024年5月10日（金）13:30~14:30

　　　  　　※①②の内容は同じです。

申し込み：https://corp.pirika.org/seminar/form-artificial-turf2404.html

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