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自治体 コンサルティング

人工芝の流出抑制は施工時からの対策が鍵〜千代田区外濠公園総合グラウンドにおける流出対策のモニタリングと対策提言〜

 人工芝はコストやメンテナンス、雨天後の利用等において利点が多く、スポーツ施設を中心に多くの施設で導入されています。一方、近年人工芝がマイクロプラスチックとして流出していることが明らかになり、対策に目を向ける意識も高まりつつあります。公共のスポーツ施設を有する自治体でも人工芝流出の懸念に注目し、対策を検討するところが増えてきました。

 株式会社ピリカ(以下ピリカ)は今回千代田区からの相談を受け、千代田区内に位置する外濠公園総合グラウンドにおいて、人工芝の竣工期間中に、流出対策のモニタリングと評価、および対策の提言を行いました。

1. 施工前の流出対策の検討について

 千代田区が管理している外濠公園総合グラウンドは、従来は天然芝のグラウンドであったため、冬場の養生や雨天後は水はけの悪さにより、稼働率が上がらない状況が問題でした。そこで区は、屋外のスポーツ空間を良好な状況で稼働させていくために人工芝の導入検討を始めました。人工芝の導入・竣工にあたっては、マイクロプラスチックの流出対策を実施することが必須要件であると区は考え、施工業者への発注の段階で、流出対策に関する事項を仕様書へ明記しました。その中でピリカは、竣工までの人工芝流出対策に関してのアドバイザリー業務を実施しました。

 結果として施工前から、耐久性の高い人工芝の採用や、施工業者が自前で側溝内に設置するフィルターや飛散防止ネットを準備し設置に取り組む様子が確認できました。

施工前の流出対策を検討する様子

2. 施工中の流出対策をモニタリング

 施工業者が実施する、施工中の人工芝流出抑制・対策について、環境分野の専門的知識を有する第3者機関としてピリカはモニタリングと評価を行いました。

 対策内容として、集水桝手前への側溝フィルターの設置、側溝蓋隙間へのテープ設置、土留めにおける飛散防止ネット、歩道へのゴムチップ飛散防止のためのシート設置等を業者が行い、各対策において十分ではない事項については改善を促し、流出が懸念される箇所での効果的な対策について助言を行いました。

施工時の流出対策をモニタリング

3. 人工芝流出対策具体化に向けた提言事項

 敷設された人工芝の流出を防ぐために、具体的な事例を用いて提言事項をまとめました。人工芝片・充填材が外部に移動しないように、側溝に適したフィルターを適用したり、側溝蓋上部へ人工芝カバーを設置することが有効です。対象設備の条件に見合った素材やフィルターの提案、設置方法の注意点等についても助言を行いました。他にも、非競技エリアで充填材を使用しない、人工芝フィールドとフェンスや排水溝との間にコンクリートや土のスペース(バッファ)を設ける等も、移動抑制対策になります。

 実際に利用者が使う段階では、マットやエアブラシを入口において使用後に人工芝片や充填材を落としてもらうようにすることや、メンテナンスで適切に人工芝片や充填材を除去・清掃することが重要です。施設の運用についても、点検の頻度や注意点を含めて、具体的な提言を実施しました。

4. さいごに

 人工芝の流出対策は、人工芝の導入を検討する段階から早めに対策を実施することが肝心です。施工時においても業者任せにせず、施設管理者や第3者機関が積極的に関与し流出対策のモニタリングを行うことが重要です。ひとつひとつの人工芝施設が適切な対策を施し、施設を運用していくことで、人工芝(マイクロプラスチック)の自然界流出を防ぐことが可能になります。

 ピリカは今後も人工芝流出の問題解決のため、さまざまな施設で実態把握と対策提言を行っていきます。

千代田区外濠公園総合グラウンドの人工芝生化整備に関する報告についてはこちら

ピリカコンサルティング事業の詳細はこちら

自治体名:千代田区役所環境まちづくり部道路公園課 業種:地方自治体 調査サービス:コンサルティング、人工芝流出対策

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