使用済みの人工芝が、公園のベンチやテーブルに生まれ変わりました
〜東京都の支援事業のもと、enloop®と共同でデザインを拡充。都内各所に設置しました〜
株式会社ピリカは、「ごみの自然界流出」という社会課題の解決に向けて、「東京都社会課題解決型スタートアップ支援事業」および「多摩イノベーションエコシステム促進事業」の支援を受けて、使用済み人工芝のリサイクル事業を進めています。この事業の一環として、リサイクル板材を活用した製品づくりに取り組み、設計・デザインの面でサイクラーズ株式会社のリメイクブランド「enloop®」の協力を得ました。
東京都社会課題解決型スタートアップ支援事業のもと、enloop®と共同制作したリサイクルベンチ(設置場所:隅田公園 そよ風広場)
取り組みの背景
使用済み人工芝の流出問題
サッカー場などで使われる人工芝は、パイル(芝の葉の部分)・充填材・基布といった複数の素材でできており、分離して再資源化することが難しい廃棄物の典型例です。そのため、使い終えた人工芝のほとんどは、焼却または埋め立てで処分されてきました。
さらに、処分される前にも問題は起きています。人工芝は使ううちに摩耗し、細かな破片となってグラウンドから河川へ流出します。環境省の推計では、人工芝由来のプラスチックの流出量はパイルから年間240トン、充填材から最大2,700トンにのぼるとされ、海洋マイクロプラスチックの発生源のひとつと考えられています。※1
こうした課題に対し、ピリカは使用済み人工芝を独自技術でリサイクル板材に再資源化し、ベンチなどの製品に生まれ変わらせる取り組みを進めています。この取り組みには、enloop®がデザインの面から参画しています。
デザインのブラッシュアップ
一方で、リサイクルベンチの取り組みは始まったばかりで、より多くの場所で使用いただくためにはデザインのラインナップを増やすことが課題となっていました。そこでピリカは、enloop®のデザインチームとともに座りやすさや利便性などを検証しながら、デザインのラインナップ拡充を図りました。
今回の取り組みで設置した製品
制作したベンチ・テーブル・ダストボックスカバー(デザインプロデュース:enloop®)は、公園をはじめとする都内各所に設置されています。
ベンチを使用した方の声
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デザインが素敵でした!座った時にスカイツリーがよく見えて、ロケーションも良く、のんびりくつろげました。
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高さが普通のベンチより少し高めで、座った後に立ち上がるのが楽でした。
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環境に配慮した製品が今後増えてくれるといいと思う。
担当者の声
enloop® デザイナー 島田ちひろさん
ピリカのプロジェクトへの想い
人工芝の廃棄や流出の実態を知り、グラウンドから出たものが再び人の集まる場所で使われる製品へ生まれ変わる循環に大きな魅力を感じました。デザイン面でその取り組みに携われたことをうれしく思っています。リサイクル板材は近くで見ると一本一本異なった、独特で面白い表情があります。「これが人工芝からできているんだ」という発見を楽しみながら、資源循環について知っていただけるきっかけになればと思います。
デザインのこだわり
一人でゆったり過ごせるベンチ、短時間利用を想定したベンチ、限られたスペースでも使いやすいダストボックスカバーなど、場所ごとに異なるニーズがあり、それぞれに向き合いながら形にしていきました。
どの製品も、まずは利用者のニーズに応え、快適に使っていただけることを大切にしています。
そのうえで、素材に興味を持っていただき、人工芝のリサイクルについて知るきっかけになるようなデザインを目指しました。
苦労した点
人工芝由来のリサイクル板材は成形サイズや構造に制約があり、デザインの自由度との両立に苦労しました。また、成形する際に中に空洞ができるなど、アップサイクル材特有の課題もありましたが、工務店様の高い技術に支えられながら実現することができました。
こんなアイデアも
人工芝そのものをアクセントとして使用する案や、素材をそのまま展示するような案も検討しました。また、椅子とサッカーゴールを組み合わせた体験型のアイデアもありました。今回は金具以外の新しい素材を加えず、人工芝由来のリサイクル板材そのものの魅力を感じていただけるデザインとしています。
設置場所:隅田公園 そよ風広場
設置場所:隅田公園 そよ風広場
株式会社ピリカ 流出ごみ資源化チーム 市川 翔太
協業で広がったこと
enloop®との協業により、製品ラインナップは1カテゴリから、ベンチ・テーブル・ダストボックスカバーの3カテゴリへと拡大し、ベンチのデザインも1種類から4種類に増えました。設置場所に適した形状や、素材の特性を活かした遊び心のあるアイデアなど、多様な視点でご提案をいただいたことで、お客さまの用途や設置場所に合わせた選択肢が大きく広がったと感じています。
今後に向けて
板材をより活用しやすい素材にするため、引き続き改良を重ねながら、さまざまなサイズに対応できる生産体制についても検討を進めていきたいと考えています。 また、原料となる使用済み人工芝は、張り替え時に出るものだけでなく、摩耗してグラウンドから流出する破片の回収にも、「多摩イノベーションエコシステム促進事業」の支援を受けながら取り組んでいます。
今後は都内に限らず、より多くの自治体へこの回収の仕組みを広げ、人工芝の流出防止とリサイクルの両輪で進めていきます。
捨てられるはずだった人工芝が、公園でひと休みする場所に生まれ変わる。
ピリカはこれからも、使用済み人工芝の再資源化を通じて、ごみの自然界流出という課題の解決に取り組んでいきます。
参考リンク
- enloop®公式サイト:https://www.enloop.info/
- enloop®が手掛けるリメイク商品やセカンドハンド家具・雑貨が購入できるサイトPearl [re] Pearl:https://shop.pearl-re-pearl.com/
- TOKYO STARTUP LINK 掲載記事:https://note.com/startup_link/n/nb0634ebd2a8e
- 多摩イノベーションエコシステム促進事業 プロジェクト紹介:https://tama-innovation-ecosystem.jp/project/environmental/4801/
※1) 環境省「日本の海洋プラスチックごみ流出量の推計(令和6年度検討結果)」:https://www.env.go.jp/content/000320690.pdf